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本当に2万円で作ったロゴデザインでいいの!? 111人/80万人の衝撃。

<結論>
できるだけ安く、マークとしてあれば良い場合はOK。
しっかりとしたブランディングを含めて考えるならやはり難しい。


極端な低予算でロゴが作れるクラウドソーシング

在宅だけで稼げる?クラウドワーカーは「ブラック」か「福音」か

出典:THE PAGE

という記事を昨日読みました。その内容は

約80万人のクラウドワーカーのうち、月収が20万円を超えた人が

111人しかいない

というものです。
弊社でもおりにふれてクラウドソーシングについて記事にしてきましたし、かなりいびつな構造で成り立っているとは思っていましたが、この数字はいささか衝撃的。サービス運営、クライアント、クリエイターの三者の中で極端にクリエイターにメリットがないことが明確になりました。

クラウドソーシングとは、簡単に言えばWEBを使ったマッチングサービスで、サービスをつかってクライアントが発注、その案件に興味を持った登録クリエイターがデザインを応募して採用された場合にだけ料金をいただけるというものです。Googleで「ロゴデザイン」と検索してみると「X万円でXX案提案が!」といったようなクラウドソーシングへのリンクが上位に表示されます。


クリエイターから見たクラウドソーシング

例えばそのサービスが「2万円で60案提案!」とうたっているとした場合、クリエイターサイドは、常に60人とのコンペにさらされる状態なので、平たく考えて60回提案して1回だけ2万円がいただける確率となります。人の2倍仕事が取れる人でも30回に1回しか成立しない訳です。仮に1案ロゴデザインを作るのに1時間かかったとして、60時間費やして2万円です。

なんと「時間給&1案 約333円」!

まあ、少々強引な計算ですが、作る側からすればいずれにせよ多くの時間は使えない訳ですし、だからこそ1ヶ月に20万円以上稼げる人が「111人/80万人」しかいないのです。考え方を変えればクライアントは60時間分のクリエイティブが手に入るとも言えますが、その1案が短時間で制作された案であることは変わりませんし、そのほとんどのクリエイティブが捨てられるからこそ、大半のクリエイターが利益を得られず、1案の価値を高めることが難しいという構図になってしまうのです。


本来のロゴデザインの意義

なぜロゴ(シンボルマーク・ロゴタイプ)をデザインするのでしょうか。みんなが作るから?無いとカッコ悪いから?あるとカッコいいから?ロゴの本来の機能は、企業やブランドが自らの象徴として顧客やパートナー、広くは社会、自社の社員に対しても様々な意味を込めて視覚的なコミュニケーションを図るものです。伝えるべき大切なことは何なのかを考察し、多様な表現方法を模索し、異なる方向性の中から取捨選択をして最適なデザインでブランドイメージや個性を表現するのです。


制作に必要な様々な行程

本来の意義を踏まえて、実際にロゴデザインを制作する場合は、

といった準備があって、

最低でもこれらの行程を経る必要がありますが、クラウドソーシングの仕組みの上で、できるだけ時間をかけずに制作しようとすると、表面的な「形」を作ることしかできなくなってしまうことが大半でしょう。中には時間をかけて制作している人もいるかもしれませんが、それはデザイナーが一方的に「さらに」リスクを背負っているだけのことです。

そういう私達もご予算や納期の許される範囲の中でご提案することになりますのでできることに限りはあるのですが、現在のクラウドソーシングの仕組みでは、ブランディングのためには必要最低限と思われる内容をカバーすることはなかなか難しいのではないでしょうか。できるだけ低予算で、それなりのマークとしてあれば良いと割り切れる場合は、もちろんメリットはあると思いますし、何を重要視するかはユーザー次第です。ただ、制作サイドの背景をご理解いただくことも判断の一つとしていただければと思います。


ブランドを大切に育てるという観点から考える重要性

ロゴデザインに関する検索キーワードを調べてみると

「ロゴデザイン 無料」

「ロゴデザイン ソフト 無料」

「ロゴデザイン 提案 無料」

などといったものが並んでしまいます。
こういったことから見てみても、いかにロゴデザインが安易に考えられているかが分かりますね。これは、クラウドソーシングが招いた極端な低価格化による誤った認識の結果と言えるかもしれません。
「ソフト」を使ってオートマチックに作れるのなら、同じものを他の人も作れるということですし、まして「無料」で配布されるようなものなら尚のこと。「提案無料」というキーワードも、提案するまでにどれくらい労力を要するか、先に述べた必要な行程が前提であれば、提案にこそ価値があるということをご理解いただけるはずですが、これも単に「形」の気に入る、気に入らないという表面的な心配の結果でしょう。ロゴデザインはその意義において、オートクチュールでなくてはいけません。見た目だけマーク的な形を作るだけなら1時間で50個でも作れます。しかし、溢れる情報の中で比較検討され続ける現代において、あなたのブランドの差別化のために、しっかりと個性を打ち出していくための重要なツールとして捉えれば安易に作ってしまうことで起こる将来的な機会損失にも想像が及びます。逆に、それらを踏まえて良いものを作ることができれば、他に先んじることができるとも言えるのではないでしょうか。そのために、我々は夢に見るほど何度も何度も何百回も何千回も試行錯誤を繰り返してデザインを生み出すことに誇りを持っているのです。

私は、ゲームタイトルロゴデザインにも実績があるのですが(Go antenna gds)、少し大きい案件であれば、制作に数ヶ月、予算も数十万円の規模となります。ゲームメーカーは、ゲームの世界観をユーザーに伝えるためのコミュニケーションツールとしてのタイトルロゴをとても重要なものと考えているのです。例えそれが限られた時間に流通するものであっても。

あなたはあなたの会社が一生使い続け、あらゆる場所に企業の象徴として表示されるシンボルマークやロゴタイプにどのような価値を求められますか?それをどういったクリエイターに制作を頼みたいと思いますか?すでに答えはあなたの心の中に浮かんでいるのでは?それが、できれば私だと嬉しいのですが(笑)、もしそうでなくても必要な制作時間と妥当な費用をご用意いただいて、しっかりとした方にぜひご依頼いただきたいと思うのです。


ロゴデザイン制作事例:


BDSではご相談だけでも喜んで承りますので、デザインについてお悩みの方はお気軽にお問い合わせください。

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