プロが教えるロゴデザインのコツ。シンボルマークデザインの進め方。
では、シンプルさが求められるシンボルマークデザインにおいてはアイデアがとても重要ということをお伝えしました。今回はその具体的な進め方をご紹介していきたいと思います。
まずは企業のコンセプトやポジショニング、ターゲットユーザーを明確にしたら、これらを踏まえてシンボルマークのデザインに入ります。瞬間的に視認されて印象に残ることが求められるシンボルマークは、シンプルかつ企業を象徴することが求められますので、象徴すべき要素をキーワードとして抽出します。それらを理解し、心に留めながら実際にアイデアを展開していきます。
デザイナーによって、または内容によって方法は異なると思いますが、私の場合(BDS ブランドデザイナー・ナカムラ)、まずは方眼紙に手書きでラフを描いていきます。ソフトウェア上よりも自由になれますし、アナログ作業の方が人の感性をより反映し易いと考えています。こだわりとしては、鉛筆は使わずにボールペンとサインペンを使用します。鉛筆を使用すると、濃淡やかすれなどで「味」が出てしまい、実際よりもよく見えてしまうことがあるからです。ボールペンの方が、後にモノクロデータ化した時に差異が少なく判断を誤りません。
<参照1>
アイデアをひとしきりひねり出した後は、良さそうな案をピックアップしてスキャナーで取り込み、Adobe Illustratorでトレースしていきます。
この段階では、あまり絞り込まずに可能性のありそうなものはトライしてみます。だいたい提出案の3倍くらいは作ります。その後、少しずつ要素を変更しながら様々な形にトライします。丸で囲む、四角で囲む、反転する、増やす、減らす、斜めにする、フチをつける・・・・などと色々変化をつけながら作り続けていきます。
本記事の最上部画像は、ただ「Tを囲む」という要素で展開しただけなのですが、ここにコンセプトを加えるともっとやるべきことが広がります(参照2)。こういった作業を時間が許される限りくりかえし、A案とC案を組み合わせて・・・こねくり回したりもしながらどんどんと広げていきます。
この段階であまり細かい所を気にしない、出てきた案は否定しない、削除しないというのがセオリーでとにかくプラス思考で出し続けるのがコツです。
これはいけそうだな!というものがいくつか出揃ってくると、ここで初めて精査していきます。デザインとして良くてもコンセプトとのずれは無いか?使用する際に使いにくくはないか?などを考えてふるいにかけます。
<参照2>↑シンボルマーク展開例:要素を足したり引いたりしながら、プランごとにどんどん進めます。
<参照3>↓系統ごとに精査したもの
★さらに3案に絞ってご提案したのがこちら→株式会社タスカル様ロゴデザインプラン
その後、各プランの説明とともに初回ロゴデザインを提出。調整、修正などを経て採用案を決定していただいた後、カラーバリエーションを展開しさらにイメージを詰めていきます。
<参照3>カラーバリエーション展開
ご意見いただいた後に微調整をし、ようやく完成となります。具体例をご覧いただきながら、弊社のシンボルマークのデザイン進行をご紹介いたしました。基本的に前回のロゴタイプデザインも同様の進行となります。ラフスケッチから仕上がりまで、かなりの時間と労力をかけて制作しているのをご理解いただけましたでしょうか。本記事が、起業準備でロゴデザインをどうしようかお考えの方の参考になれば幸です。
次回は仕上がったロゴの展開事例をご紹介していきます。
BDSではご相談だけでも喜んで承りますので、デザインについてお悩みの方はお気軽にお問い合わせください。